Echelon Index

エクストラ・ブラデット紙:Bo ElkjaerとKenan Seebergによる記事。
http://www1.ekstrabladet.dk/VisArtikel.iasp?PageID=43055

私は人生をビッグ・ブラザーに売った

「デンマークの大臣たちは、信じたいものを何でも信じることができる。私はエシュロンの存在を知っている。なぜなら、私がシステムを作るのを手伝ったのだから」。

二日目、元エシュロン・スパイのマーガレット・ニューシャムは諜報の「黒い世界」と、彼女の人生との致命的な関連について語る。彼女のスパイ活動時代の同僚の半数は現在、死亡している。

エクストラ・ブラデット:1999年11月18日発行。

 

自宅のコンピューターの前に座るマーガレット・ニューシャム

「監視は信じられないほど目標志向でした。私たちは個人、もしくは組織を選び出して、いつでもリアルタイムに、あらゆる電子通信をモニターすることができました。

モニターされている人は、自分がモニターされていることに気づくことさえありません。得られた情報のほとんどはわたしたちのシステムの巨大なデジタル容量を使用し、高速で他の基地へ送られたのです。一切は捜査令状なしで行われました」。

すべての情報がメリーランド州フォートミードにあるNSA本部へ送られたのですか?

「すべてではありませんが、非常に多くの情報でした」

そのシステムは、ある種のカテゴリーと検索語に基づいて、電波を事実上探し回ることのできるプログラムを使用しているのですか?

「それは動作原理の一つですね……そのとおりです。それはインターネットのサーチ・エンジンみたいなものです。検索を特定の数、人あるいは用語を制限することによって、入力した語に完全に関係している結果を得るのです」。

セキュリティ違反

エクストラ・ブラデットは元監視諜報員マーガレット・ニューシャムと、ラスベガスのすぐ近郊にある彼女の家で会見した。

エクストラ・ブラデットに語ることで、彼女は沈黙を破り、安全と考えられる範囲で可能な限り多くを語ることを決意した。なぜならニューシャムはまだ、諜報機関omertの適用を受けているからだ。

この厳しい守秘命令によれば、彼女はNSAにおける彼女の諜報活動の一切についてもらすことは許されない。

「けれども、私は自分の人生と言論の自由をアメリカ政府の最も大きな諜報機関に売り渡した、という事実を甘んじて受け入れるのは辛いのです」。概して、彼女がそれをもっとも望んだとしても、マーガレット・ニューシャムが普通の生活を送ることは困難である。1984年、彼女はNSAのスパイ監視装置を構築したロッキード・マーティンによって解雇された。

究極的には、彼女は保安上の危険を感じたプロジェクトに取り組むことを拒否した。

彼らの言い方に従えば、彼女は「抹殺」されたのだ……そして不当な解雇に対して、彼女は彼らを告訴した。

 

10億ドルの詐欺師:

「私はカリフォルニア州サニーベールのロッキード本社とイギリスのメンウィズヒルのどちらでも、ほとんど毎日、セキュリティ違反を経験しました。時にそれはまったく馬鹿馬鹿しいものでした。「見えない」ステルス爆撃機の開発を担当している課の同僚たちが主催したバーベキュー・パーティーで使われていたやかんは、敵のレーダーシステムから爆撃機を不可視化するのと同じ素材でできていました。別のとき、誰かは高度機密であるエシュロン基地の印刷物で全体が覆われたコーヒーマグを持っていました。

しかし彼らは実際の詐欺にも関係していました。

ロッキード・マーティンはNSAプロジェクトの契約を取るために、事前に不法に資金と人材を移動しておいたほかの会社を切ってしまったのです。

ロッキード・マーティンは何億ドルもの詐欺を働くことができたので、どんなことでも可能でした。

このためロッキード・マーティンは非常に詐欺的な会社となりました。そして私には、あの会社が合衆国政府の保安を危険にさらしたと思えたのです」。

合衆国政府はその秘密プロジェクトに関して知っていましたか?

「いいえ。だからこそ私たちはそのプロジェクトを「黒いプログラム」と呼んだのです。

政府は、何が起きているのか、または何十億ものお金が何に使われているのか、本当には知らなかったのです。

アメリカ政府と合衆国憲法はいつも侵害されていましたが、私は強い忠誠を感じていました。

諜報の世界は「黒い世界」とも呼ばれています。というのも、ほとんどの諜報活動はどんなコントロールも超越して、秘密裡に実行されるからです」。

解雇されてから、マーガレット・ニューシャムは強い圧力下にいた。というのも、ロッキード・マーティンにおける彼女のケースはNSAの「暗黒の計画」を、開かれた法廷で、つまり光をあててしまうことだからだ。とりわけ、この訴訟は14億以上の詐欺事件であり、今のところ彼女の弁護士は2千万ドル相当の法律上の援助を与えている。

 

早過ぎる死:

この事件は、彼女の健康に致命的な影響を与えた。

84年以降、彼女の身体は完全に麻痺しており、心拍停止から辛くも生き延びた。そしてなにより、彼女は癌にさいなまれている。

こんにち、彼女は借り物の時間を生き、高血圧に苦しんでいる。

「私が心拍停止から生き延びたとき、夫が離婚を申し出たことは何の救いにもならなかったのです。彼はロッキード・マーティンのセキュリティ部門の最高責任者で、私と同じようにたくさんのプレッシャーを感じていました。
彼は私と運命をともにしていることに、ひどく疲れきっていました」とニューシャムは語る。

彼女は現在ひとりで生活し、3人の子どもと6人の孫たち連絡ととるようつとめている。現在、彼女は閑静なラスベガス郊外に住んでいる。隣人さえ彼女の過去について知らない。

「NSAの活動は私のみならず、ロッキードで諜報活動をしていた同僚たちにも影響を与えました。私と一緒に秘密の活動に従事した人々の半数が亡くなったか、もしくは瀕死の病に伏せています。
例えば、エシュロン・プロジェクトで私のボスだったロバート・ルーパーは軽い心臓麻痺で死亡していますし、ステルス爆撃機の開発に尽力したケイ・ニッカーソンは脳障害で亡くなりました」。

しかし、あなたの以前の同僚の半数は、どうして若くして亡くなってしまったのですか?
「どんなふうに説明したらいいのかわかりません。でも、ある時私たちは、サニーベールのロッキード本社が高放射能廃棄場の上に建てられていることに気づいたんです」。

彼らの死因は何だったのですか?
「心臓麻痺、癌、説明のつかない発作や脳障害ですね。私でさえ、癌で死につつあります。でも私には、私を支援してくれる弁護士や医者、子どもたちや孫たちがいます。私が愛する人々ですわ」。

あなたに継続する勇気を与えているのは何でしょう?
「NSA、CIAやNRO(National Reconnaissance Organization:国家偵察機構)が、世界に対して違法なスパイ活動をおこなっているという事実ですね。
彼らは自分たちの行為を薬物犯罪者や銃器密輸、その他の犯罪を捕らえるためだといいます。
しかしいくら犯罪行為のためとはいえ、彼らのしていることは正当化できるものではありません。彼らはつねに、法律を破っているのです」。

デンマークのエシュロン:

デンマークでは、主要な政治家や大臣は、新聞がいかなることを書こうとも、エシュロンに関するどんな情報をも否定する。
「今後は私のことも読むでしょう。私はエシュロンの存在の生き証人ですわ。私はたくさんのエシュロン・プログラムを配置し、起動させたのです」。

マーガレット・ニューシャムはわれわれに、彼女のメンウィズ・ヒルへの辞令、エシュロン・プログラムの仕様書やその他の内部文書を見せてくれた。

われわれは「VAXRED」と指定された、デンマークのアフランドシェーグ(Aflandshage)監視所におけるコンピューターの残存物を見つけた。

これの意味は何なのでしょう?
「はい、実際のところ、それは2つのことを意味しています。
わかりますでしょうか……私自身はVAXコンピューターで作業をしていました。VAXはエシュロン・プロジェクトに使用されたものです。
REDという色は、恐らく分類レベルを示しているのでしょう。というのも、セキュリティシステムでは、、現在起きているすべてのことに関する全体像を知っているのは、ごく限られた少数の人々だけだからです。
そのため、従事者の中には赤いタグをもっているものもいれば、紫や青いタグを持っている者もいるのです。このことは、彼らがプロジェクトのある一部分、つまり同じ色で分けられた部分でしか、働くことができないということを意味しています。
その結果、現在起きていることの全体像を知り得る従事者はほとんどいないのです。
私はすべての色のタグをもっていましたので、全体をよく見わたせる立場にいました。
私はまた、バックアップ・ファイルの作成も行っていました」。

 

ビッグ・ブラザーがわれわれをコントロールする:

そんなシステムが実在するということを信じることができない人がいる、ということはわかりますか?
「ええ。でもそれは本当のことなんです。
わたしたちは自国民と、それからヨーロッパの同盟国を含む、世界中の人々をスパイしています。
もし私が「アムネスティ」とか「マーガレット・ニューシャム」と言ったなら、その通信は傍受され、分析と調整をへて、転送され登録されるんです……それが諜報機関にとって重要なものならね。
私は最近、ある放射線技術者と話をしました。彼は私とまったく同じことを10年たってからやっていたのです。1991年、「砂漠の嵐作戦」のときに。
私がもしすべてを話すことができるのなら、エシュロンがどれほど大規模で、その大きさはほとんど理解を超越するほどのものであるかがわかるでしょう」。

マーガレット・ニューシャムは、彼女が1984年に解雇されてからというもの、アメリカの諜報界からのけものにされてきたことを残念には思っていない。
その解雇は彼女の夫と、仕事と、健康を犠牲にした。

もし昔に戻れたなら、もっと違うやり方をしたのでしょうか?
「まったくありません。真実のために、暴露することは重要なのです。
わたしたちが将来「ビッグ・ブラザー」のコントロール堪えなければならないなんて、私は信じません。しかし現在、私たちはそれに堪えているのです」。

 

事実:

10年間、ニューシャムは合衆国の軍需部門とコンピューター企業シグナル・サイエンス、フォード・エアロスペースとロッキード・マーティンで働いた。
彼らとの契約は、これらの企業がNSAのために開発したエシュロン衛星とコンピューターの開発とアップグレードであった。
NSAはCIA、NROと緊密な協力関係にある。
2年間、ニューシャムはイギリスのメンウィズ・ヒルにあるエシュロン・コンピューターネットワークの、毎日の作業の責任者であった。
エクストラ・ブラデットが所有する機密書類で、メンウィズ・ヒルは「エシュロンサービスの最大拠点」と述べられている。
デンマークはUKUSA、電子監視協定に第三者ベースで参加している。