Echelon Index

デンマークの新聞エクストラ・ブラデット紙のエシュロン特集より。
http://www1.ekstrabladet.dk/netdetect/echelon.iasp

2000年3月4日、エクストラ・ブラデット発行

全世界への鍵
彼女は世界全体の通信の鍵を握った。そして彼女の非難はたいへん痛烈だ:「わたしたちがエシュロンを設計したとき、わたしたちはすべての市民のプライバシーの権利に違反したのです」

ElkjaerとKenan Seebergによる
エクストラ・ブラデット紙、デンマーク

エクストラ・ブラデット紙が、マーガレット・ニューシャムによる衝撃的なエシュロンの暴露を報じたのち、デンマーク議会とヨーロッパ議会はこの世界的監視問題について討論してきた。 しかし何も起きなかった。

この記事で、エクストラ・ブラデットはニューシャムがエシュロン・スパイとして活動していた期間について、新しい書類と新事実を公開する。

欧州共同体委員会はエシュロンを「うわさ」以外の何ものでもないと言った。

少なくともデンマークのハンス・ハッケラップ(Hans Hakkerup) 国防大臣は、この種のシステムが存在する可能性は非常に高いことを認めた。 しかし彼はこのことについて、何もするつもりはない。

最近、デンマーク首相ポール・ニラップ・ラスムーゼンは、ケルド・アルブレッツェン議員への返答に際して、「この種のシステムの存在を考慮する根拠はない」と述べた。

これは必ずしも、彼がエシュロンの存在を信じていることを意味しない。
しかしこれは必ずしも、彼がエシュロンの存在を信じていない、ということも意味しない。
それはただ、ポール・ニラップ・ラスムーゼンはこの問題に関知しないのだ、ということだけを意味している。

よかろう。

われわれエクストラ・ブラデットはそうはさせない。 われわれは選挙で選ばれたデンマークの代表者が意を決することができるよう、十分な情報を提供する労を厭わない。

我々は追加すべき文書を入手した。 新しい文書は、これまでのところ エシュロンの無法ぶりについての最良の目撃者、マーガレット・ニューシャムの信頼性を高めるものだ。

スパイ全員のための許可証:

1974年から1984年まで、マーガレット・ニューシャムは、諜報活動用コンピューターや衛星をも製作する、さまざまな兵器供給元で働いた:デジタル・イクイップメント、 フォード・エアロスペース、 デジタル・サイエンス、ヒューズ航空機、そしてその中でも最大なのはロッキード・マーティンであった。(ハッケラップ氏が新しいハーキュリーズ飛行機を買うつもりなのも、この会社である)

「私たちは一般の人々、利益団体、企業などをモニターしました」。 特定の題目に目標を定めるためにしなければならなかったのは、それらをコンピューターにコード化し、たとえば"アムネスティ・インターナショナル"あるいは"マーガレット・ニューシャム"などと書き込むことでした。 そうすれば、わたしたちは問題の題目をモニターすることができたんです……通信の最中にね」。
彼女はエクストラ・ブラデットにそう語る。

エシュロンの中心で:

エクストラ・ブラデットはニューシャムの同意を得て、彼女がNSAのまさしくその中心にいたことを証明する、さまざまな文書を公表することを決めた。 そのなかから、いまわれわれは元トップ・スパイの保安許可証のひとつを公表している。

「あるとき、私はデータバンクで働いてみたいかどうかたずねられました。 「ええ、もちろん」。私は答えました。 それは面白そうだったからです。 そして私はやがてある一室にいました。そこは、あらゆる秘密活動から得られた、一切のデータにアクセスすることができる場所でした。
CIA、NSA、陸軍、海軍、空軍、それら多くのものの全体です。 入室するためには、特別な警備員が開閉する、銀行金庫室のドアを通過しました」。

われわれはまた、ニューシャムがNSAのスパイ学校で学んだことを証明する文書の公開を決めた。この学校は、とりわけ「プロジェクト415」の運営に使われた最高機密コード言語での、セキュリティ訓練プログラムを修める場所であった。 プログラム415には、後ほどエシュロンというコード名があたえられた。

彼女の訓練証明書は、1980年にNSA部長だったB.R.インマン(B.R. Inman )によって署名されている。
エクストラ・ブラデットはこのページに公開している文書のオリジナルと、彼女がメンウィズ・ヒル、全世界規模の監視システムにおける最大の監視施設への移転命令書も確認している。

「暗号管理者として、私は全世界のすべての基地で使われる暗号に、しばらくの間は毎日アクセスしていました。
私は全世界への鍵を握っていた、といわれるかもしれません」。

報復への恐れから、エクストラ・ブラデットにすべてを打ち明けるのをためらいつつ、マーガレット・ニューシャムは語る。
しかし彼女はまだ、秘密のスパイ工場と、世界規模の監視システムを建設し、運用している基地の、いっそう不気味なセキュリティの細部を暴露することを厭わなかった。

「毎日特定の時間、NSAのすべての監視基地は同時に暗号を変更するよう命令されていました。 私たちは、新しいコードを含んでいる暗号カードを手に取り、ほかのすべての基地と同時に、そのカードを小さな箱に挿入して暗号を変更したのです。
変更後、わたしたちは古いカードを破棄しなければなりませんでした。
このステップのために、NSAはほかの認証手順とは異なる、非常にユニークなセキュリティ手順を導入していました。 普通、すべてのものは、いわゆる「燃焼袋(burn bag)」で破棄されることになっていました。 わたしたちへの新しい指示には、三人の従業員が破棄の過程のすべてに参加すべきであると述べられていました。 わたしたちはミキサーを水で満たして、ミキサーにカードを入れ、そしてスイッチをオンにするようになっていました」

普通の台所用ミキサーですか?
「ええ! カードがすでにどろどろの糊に変わったら、その容器をトイレに持ち出すことになっていました。 そこでわたしたち三人は立って、明けても暮れてもトイレの水を流しながら、古いコードを破棄していたのです。最後に、わたしたち三人は破棄を目撃したという文に署名しなければなりませんでした」

マーガレット・ニューシャムは、彼女が開発を手伝っていた高度に洗練されたプログラムに使われていた、この原始的な保安手順の考え方を笑う。 しかし彼女はふたたび真剣になる。

「それ以来私が考えてきたひとつのことは、私たちのテストのやり方でした。 それは軽蔑にすら値しないものでした」。

どのような方法ですか?
「私たちはシステムの機能をテストするために、ただ生きているデータを使っていたのです」。

それはただシステムのテストのために、傍受された通信を使ったということですか?
「はい」。

それはとても倫理的なことではないですよね?
「その点で、私はあなたに反対しません。 それは非常に受け入れにくいものでした」。

付加事実:

エクストラ・ブラデットは1983年7月23日付けの、ニューシャムの「業務概観書」を保有している。 この文書は、ニューシャムがなかでも以下の業務指令を持っていたことを立証する。

「組織化、計画化、開発、監督。 ソースファイルを検索し、新しいリリースを宣言し、あらゆるソフトウェアの文書庫を保守する。SCCS (Software Configuration Controls:ソフトウェアコンフィギュレーション制御装置)ツールのソフトウェアを開発しているプログラマー全員を連結する。 コンピューター・オペレーターが不在の場合は代役となる。 コンピューターの手順に新しいユーザーを教える。 あらゆるテープとディスクの履歴コピーを保守管理し、P-285用に機密扱いとそうでないものに分ける(P-285は、のちにNSAによりエシュロンのコードネームで呼ばれた、プログラムの一部である)」

彼女はまた「セキュリティと文書制御インターフェース」に割り当てられ、また彼女はファイル管理用データトリーブ(Datatrieve)を使用するためのSDRプログラムを書くため、「ソフトウェア不一致報告(Software Discrepancy Report)」と、システムの監査追跡におもな責任を有していた。 これらプログラムシステムは、特定の単語と概念を検索し、分類してから転送するエシュロンの先進的能力のすべてである。 おおむねすべての情報はアメリカ・メリーランド州フォート・ミードにあるNSA本部へ送られた。

ニューシャムの「業務概観書」によれば、彼女はVAX 11/780コンピューターシステムの運営に責任を有していた。 プロジェクト・エシュロンはまさにこれらのコンピューター上で開発されたのだ。 彼女は「オペレーション・マネージャー」でもあった。

彼女の直属の上司、D.L.フィッシュは彼女の貢献を大きく賞賛し、以下の文で結論している。「ペッグ(マーガレット・ニューシャム……編集者註)の強い関心により、このプログラムの作成は成功した」。

フォード・エアロスペース、ロッキード・マーティン、シグナル・サイエンス、ヒューズ航空機、デジタル・イクイップメント社、ボーイング、IBM、レイシオンなど多くの多国籍企業はNSA、CIA、NASAと特別な軍需契約を結んでいる。

ニューシャムと、アメリカ陸軍、海軍、空軍からさまざまに枝分かれしている私企業に勤務していた彼女の同僚たちは、ハッブル宇宙望遠鏡、ステルス爆撃機、スペースシャトル・チャレンジャー号、NSA用エシュロン監視プログラム、そしてコード名P-285という、CIA用の同様なプログラムを開発した。

勇敢な元諜報員マーガレット・ニューシャムは、エシュロンが基本的人権を侵害していることを知り、良心の呵責を感じていた。