Echelon Index

http://www.worldnetdaily.com/bluesky_smith_news/20000409_xnsof_the_inform.shtmlより

2000年4月10日月曜日

情報真空掃除機
国家安全保障局が打つ、地球規模の監視への大網

チャールズ・スミス、WorldNetDaily.com

1918年、「ブリンカー」ホール英国海軍大将に率いられた、英国海軍のコードシステム侵入者グループがドイツの暗号を解読した。これにより歴史の流れは変わり、アメリカは第一次世界大戦に参戦した。

英国海軍の情報機関によって解読されたメッセージは、イングランド中に張り巡らされたU. S. アトランティック・テレグラフのケーブルを違法に盗聴して得られたものだった。 ホール が解読した秘密メッセージは、ドイツの外務大臣が駐米ドイツ大使ヘル・ツィマーマンに宛てたものであった。

メッセージはツィマーマンがメキシコの官僚と連絡を取り、対米戦争のため、彼らがカイザー・ウィルヘルムに加わるように奨励するよう、指示したものだった。

ドイツは軍備と軍事顧問の提供を約束し、テキサス、カリフォルニア、ニューメキシコを含む、メキシコが失った領地の奪還に協力することを説明していた。

さらにドイツは、際限のない対アメリカ戦にきわめて効果的である、Uボートを譲渡することを約束した。

イギリスはアメリカに、解読された傍受信号を与えることを決意した。だがそれがどこから来たのかについては明かそうとしなかった。

アメリカが所有するテレグラフケーブルへの盗聴を、ウィルソン大統領は友好的な行為とは考えないのは明らかであろうし、またそれはアメリカの一般市民に対する、意図的な政治的効果を損なう可能性があったからだ。

法律的、政治的問題を避けるため、イギリスの諜報機関はその通信がメキシコのテレグラフ局から得られたかのように偽造してから、アメリカに電報を発信した。 イギリスはツィマーマン書簡をウィルソン大統領へ送り、その複製をアメリカの記者団に漏洩したのだ。

ウィルソン大統領はドイツに宣戦するほかに選択の余地はなかった。

「ブリンカー」ホールの作戦は信号情報が効果的に軍事的、経済的、政治的な影響をもたらした完璧な例である。

現代のスパイ活動におけるすべての出来事はツィマーマンの通信傍受の例に見ることができる。 「ブリンカー」ホール海軍大将によって創始された概念の多くがこんにち、地球上で実行されていることは驚くにあたらない。

いつでもそのようにいったわけではなかった。 1930年代後期、ハリー・スティムソン、ルーズベルト大統領政権下の国務長官は「紳士は互いのメールを読まない」と言った。

このコメントをもって、スティムソンは暗号解読の秘密チームを閉鎖した。

第二次世界大戦より先に国務省の「ブラック・チェンバー」暗号分析チームを解散するという、スティムソンの高潔だが愚かな決定は、アメリカの諜報活動を無力にし、真珠湾の一因となったのだ。

近代政治学と信号情報は最初から最後まで、イギリスのGCHQ (Government Communications Head Quarters:政府通信本部) やアメリカのNSA (National Security Agency:国家安全保障局) など、秘密諜報機関の本部で行われる。

他の政府機関も同じような通信傍受と暗号解読を実行する。そこにはドイツのBND (Bundesnachrichtendienst) 、オーストラリアの DSD (Defence Signals Directorate)、カナダの CSE (Communications Security Establishment)と中国PLA信号部門の「第二支店」が含まれている。

同じような役割を果たすさまざまな政府のたくさんの機関があるものの、どの組織とて、メリーランド州フォートミードに本拠地を置く国家安全保障局 (National Security Agency) の力と資金とは、比較にならないのである。

トルーマン大統領政権下の国家安全保障会議 (National Security Council) は、構想から直接、20世紀における最も爆発的イベントに突入した組織を作った。

1940年後期、このかけ出しの組織にとって最初の大きな前進となったのは、NSAの暗号解析専門家たちがソ連の核スパイ組織の暗号を解読するため、FBIのカウンター・インテリジェンス活動を吸収したときであった。 NSAの暗号解読により、ハーマンとエセル・ローゼンバーグは有罪のすえ、死刑を執行された。いわゆる「ヴェノーナ」と呼ばれた通信傍受作戦は、アメリカにおける初期KGBの原子力スパイ組織をもとから断ったのだった。

NSAは、現代のあらゆる信号情報活動のなかにあって、三つの異なる機能に分化されている。つまり通信傍受、分析、そして報告である。

NSAのエシュロンシステムは現代の信号通信情報システムの完璧な実例である。 エシュロンの傍受の支柱となるのは衛星と、きちんと防護された通信を使用した、大規模かつ現代的な地球規模の監視システムである。 エシュロンの分析機能の支柱はNSA本部にあり、莫大な数のスーパーコンピューターによって実行されている。 エシュロンの最後の支柱は、需要とカテゴリー分類にもとづいた、情報を受け取る購読者への報告システムである。

エシュロンの通信傍受は衛星や航空機、船舶、潜水艦、地上傍受基地や光ファイバー上の盗聴装置など、さまざまなプラットフォームから実行される。 すべてのデータはNSA本部に巡らされているNSAセキュア・ネットワークに吸収される。

最も強力な通信傍受網はNSAの衛星網である。 これらの人工衛星は最新の技術を駆使したものであり、いかなる世界的な強国でさえ手が出せないほど高価である。

たとえば1998年、「マーキュリー」というコード名のNSAの傍受衛星が、一回の宇宙空間における災害事故で破壊された。この宇宙災害事故は最も被害額の大きかったもので、10億ドルを上回った。 NSAの無線傍受衛星を軌道に乗せる予定だったタイタンIIロケットは、燃えさかる巨大な残骸の固まりとともに、海岸に降り注いだのだ。 NSAの高官はCNNのビデオで見て、ぞっとした。というのも、海上に落ちた秘密衛星の破片を拾っているフロリダの若いサーファーたちの姿が映っていたからだ。

NSAの空中通信傍受プラットフォームは、NSA仕様に改造された陸軍、空軍、海軍のさまざまな航空機で構成されている。 海軍は、無線傍受プラットフォームとして大幅に改造された、対潜水艦P-3オリオンもどきの全戦隊を動かしている。 P-3特別仕様機は、NSAのセキュア・リンク経由で直接データを分類し再送信するための巨大な搭載型コンピューターと、さまざまな標的を撮影するための高出力赤外線ビデオカメラを装備している。

海軍の航空機はしばしば、ダラス-フォートワース近郊にある、NSAと秘密契約した施設で、尾数と漫画のような文字を含む、実際の飛行中隊の記章をつけて再塗装されるのだ。

陸軍の航空機は、海軍の巨大な哨戒機より小型かつ二つのエンジンを持つバージョンであり、民間の定期航空機に似せるために商用の模様をつけて再塗装される。 偽ターボプロップ定期航空便はすでにイラク、イラン 、北朝鮮とセルビアの航路についている。

これら通信傍受機はしばしば陸軍可動司令部隊と行動をともにする。

公式の機械化陸軍部隊は、改造Humveeや装甲ブラッドレー戦車から、敵軍前線の後ろ深くで活動する「特殊部隊」を含む隠密行動にまでおよぶ。

アメリカ空軍はEC-135、EC-130ハーキュリーズ輸送機や小さな無人機などを使用し、膨大な情報を収集するのである。NSAが操業している空軍飛行機からの最近の情報は、イランと北朝鮮の弾道ミサイル発射テストを明らかにした。

しかし、エシェロンへの悪影響もある。 エシュロンは膨大な情報を収集する能力があるのかもしれない。しかしそれは消化され、データは配信されなければならないのだ。

前NSA部長マコーネル海軍大将は、NSAの通信傍受能力は解読、分析、報告能力をはるかに凌駕している、とインタビューに答えた。

NSAに関するいいニュースは、つまりNSAは一日あたり百万ものメッセージを解読、分析できることである。また悪いニュースは、世界中から送られてきた何十億ものメッセージから、どの百万件を解読するのかを決めなければならないということだ。

NSAの活動の最も劇的な失敗は莫大なメディアイベントへと進む。 CIA長官ジョージ・テネットは、4月にNSAのコンピューターシステムがある時点から数時間、停止したと証言した。

三つのネットワークすべてがNSAの伝説を築いた。

しかし、その成功がメディアで紹介されることはめったにない。

1998年における一つの成功は、空軍のRC-135Sコブラ・ボール航空機が、北朝鮮の二段階式「テポドン」ミサイルを克明に観察したことだ。 RC-135Sは、NSAによる北朝鮮の通信傍受のため、前もって朝鮮戦区に配備されていた。

しかしRC-135Sが成功をなし遂げたのは、大いなる失敗の後だったのだ。 RC-135Sは韓国から中東まで直接に飛行したものの、イランのミサイル発射を観察するのを危うく逃したのだ。

イラン上空でのRC-135Sの失敗は、エシュロンについて分析し報告する人々によって、程度の低い仕事のせいにされた。 空軍高官はイランのテストの件について、NSAを公然と非難した。 NSAのエシュロンがイランとロシアの通信を傍受した情報によれば、発射計画のほぼ24時間前にイランが改良ミサイルをテストすることは明らかであった。 しかしそれでもなお、NSAは空軍に情報を伝えることができなかったのである。

空軍は中東での警戒態勢としてコブラ・ボール・ミサイル追撃機を滑走路の終端に待機させ、イランのミサイル実験を監視していた。

ボーイングC-135を改造し、長距離カメラと高感度レーダーを搭載したコブラ・ボール航空機は、イランのミサイルが打ちあがるのを写真撮影するはずであった。 コブラ・ボールの任務が計画されたとおりに実行されていれば、イランのミサイルについての詳細な、高解像度の情報が得られたであろう。 そのかわり、イランのミサイル実験を逃したコブラ・ボール航空機はアメリカに、衛星からの低解像度で長距離のセンサーによるデータだけを残したのだ。

得てしてエシュロンがきちんと機能するとき、成功はめざましいものとなりうる。 コブラ・ボールは中東戦区を後にし、朝鮮へ直接飛行して、北朝鮮のテポドンミサイルの観察に成功するのである。

コブラ・ボールのデータを使用している諜報分析官は、テポドンが第二ステージで物体を解き放ったと結論し、北朝鮮が人工衛星を軌道に乗せたという主張を確認した。 日本の政府高官によれば、コブラ・ボールは北朝鮮と中国のミサイル監視のために、アジア戦区にとどまっている。

1998年11月、二番目のコブラ・ボールが公開され、現役勤務に就いた。 R-135Sは最近、テキサスのレイシオン社Eシステムズ工場でアップグレードされ、クルートレーニングの最中であった。 二機目のR-135Sは実戦配備が開始され、1999年のコソボ作戦ではヨーロッパの空を飛んだ。

明らかに、NSAは衛星、航空機、船舶と地上可動車両を使用し膨大な情報を収集している。

しかし、より風変わりな「通信傍受プラットフォーム」の変種は、コンピューター内部、携帯電話の内部、ソフトウェア・コードの中、または海底の太平洋横断光ケーブル上に設置される、ホールのような「ブリンカー」と関連がある。

例えば、1980年代の旧ソ連は「アイビー・ベル(Ivy Bells)」というコード名が付けられた、水中盗聴器を発見し除去した。特殊原子力潜水艦がアイビー・ベルを、ソビエト領海の深海にある通信ケーブルに設置したのだ。 この盗聴器と完全防水録音機材は、冷戦を証言するものとして現在、モスクワに展示されている。

国連の監視機関は暫定的にサダム・フセインを監視するために、別の盗聴器のセットを、イラクの光ケーブル通信に仕掛けた。 この盗聴器のおかげで、NSAはイラクの核、化学兵器、ミサイルなどの開発をモニターすることができたのだ。

こんな風変わりな方法だけでなく、NSAが用いたデータ集めの手法はみな重要である。 よく知られた一つの例として、世界中に建てられた地上基地の巨大ネットワークがある。 イギリス、オーストラリア、そしてアメリカの基地が、無線や人工衛星のアップリンクを通じて世界に発信された膨大な情報を傍受している。

NSAの監視基地の環には、ロシア軍と商業通信をモニターすべく、共産中国内に作られた二つの基地もある。NSA/PLA共同による二つの基地は、新彊の最も西側の地域、ロシア国境に近いQitaiとKorlaにある。 基地はすでに建設され、現在はCIAのSIGINTオペレーション・オフィスによるアメリカの最先端電子技術機器を装備している。これらの基地をアメリカのNSA、CIAスパイと共有している中国軍職員はCIAにより、サンフランシスコ郊外で訓練を受けている。

PLAのエージェントは中国陸軍参謀部(Chinese army General Staff Division)第二課から派遣されていることが確認されている。

PLAと共有されているデータがどれほどの分量なのかについては、表だっては知られていない。

秘密スパイコミュニティーの高位消息筋は「それはロシアの宇宙/ミサイルテストに関連している。 カーター政権下のアメリカと中国は、ソビエトのミサイル/宇宙プログラムへの監視協力に利害の一致を見たのだ」

「数年前、私はそこで得られる情報の質について尋ねたところ、「良くてもC+」だ、と言われた」。スパイ消息筋はこのように語った。

「私の推測では、現在はもっと低下しているだろう。 私がふたたび思い出すのは、クリントン政権の国防長官ペリーと中国将官ディンが70年代の終わりか、もしくは80年代にそれを準備したことだ……。 私は、われわれはこのプログラムを中国との政治的理由により継続するのであり、現時点においてはいかなる政治的理由もないという感触を得ている」。

エシュロン傍受プラットフォームの主要な標的は通信やセンサーからの軍事信号である。 信号の中には音声やテキストでの通信だけでなく、ソナーやレーダーなどセンサー類から出力されたものもある。 極超短波、携帯電話や衛星通信を含む無線通信を監視する衛星により、全地球からデータが集められる。 エシュロンはもともとソビエトを監視し、冷戦管理に役立てるという目的があった。

主要エシュロンメンバーはアメリカに加え、オーストラリア、英国、ニュージーランド、そしてカナダである。 エシュロンが収集したデータのうちのいくつかは、さまざまな中国、イスラエル、ドイツ、イタリア、イラク、サウジアラビアやノルウェーなど、多くの下級パートナーと共有される。

しかし、ローゼンバーグやトルーマンの顧問アルガー・ヒスの核スパイ事件が見せたように、スパイの世界は制服や軍事の制約を受けることはない。

NSAは、つねに情報源が暴露することへの恐れから大統領に報告するというわけではない。 またNSAの最大の道具、エシュロンの傍受対象もまた、軍事通信に限っているわけではないのだ。

地球上を行き交うその他の通信も、同様に巨大なエシュロンシステムにすくい上げられる。 携帯電話の通信、テレグラフ送信、ニュースワイヤ、商用衛星データ、インターネットやその他のさまざまな商用ネットワークは盗聴、傍受され、分類されてからフォート・ミードにある巨大な中枢部へと転送される。

利用することができる膨大な商用、公共通信すべてが、クリントン政権の戦略を変更するようにし向けた。 大統領が経済計画のいくつかを国家機密に分類したとき、NSAとCIAの情報源は「商用」に転用されたのだ。 クリントン政権期間中、NSAのスパイは自動車協議において日本の通信を、また世界貿易協議においてフランスの通信を傍受するよう企て、実際にモニターしていた。

報告された成功例の一つは、エアバス社とボーイング社との入札競争での収賄について、サウジの高官が話すのを傍受したことである。 会話はテープに録音されサウジ政府に公開され、ボーイング社 は10億ドルの定期航空便契約を獲得した。

またエシュロンは反体制グループや個人への監視にも使われている、と報告されている。データはアメリカ内外のさまざまな政府や諜報機関に、直接または間接的に伝達される。政治的不平分子という分類には、アムネスティからネオナチグループまで組織名がずらりと並んでいる。

そして、インターネットはフォート・ミードにあるスーパーコンピューターに、新しく爆発的な情報源を提供した。しかし多くの情報は軍事的な特性を持っていない……エシュロンの政治的利用により、NSAは議会、そしてヨーロッパから非難の砲火を浴びた。

「現行法では、伝統的な郵便メールや電話よりも、電子メールは法の保護を受けていない。 さらに、いま存在する電子的監視と外交諜報のための規則は非常に曖昧であり、かつ首尾一貫としたものではないので、それらは同時にプライバシーを危機にさらし、法の執行を妨げる」と、電子監視に関する最近の聴聞会でボブ・バー(Bob Barr)下院議員はこのように述べた。

「連邦機関……アメリカ証券取引委員会から法務省にいたるまで……は最近、あらゆる種類の無関係なデータを吸い込み、そして興味のあるデータ項目を隔離し、蓄積し操作する巨大な真空掃除機監視システムをインターネットに適用させるという、不穏な傾向を見せている」とバーは指摘した。「このアプローチは、プライバシー途方の執行とのバランスを取るの非常に有用な、(法文に明記されている)由緒ある原理を拒絶している。

これらの原理は合衆国憲法修正第四条の入念要件と、プライバシー法のような法令条項を含んでいる」とバーは結論した。